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相島一之さん(桜井秀人役)

 この作品は非常に重い空気感をまとい、ムードのあるミステリー。その重厚感に魅力を感じました。僕が出演するエピソードもどんどんと引きこまれていく話なので、桜井も物語を彩る人物の一人として、しっかり存在したいと思っています。桜井はひたすら社長への忠義を誓っている男。大事件が起こり、状況を少しでも良くしようと思って彼なりに行動を起こします。桜井の行動が何を生み出すのか見ていただきたいです。

 ドラマの中で出来ることは無限ではありません。一方で、ドラマという映像の力があるからこそ原作の小説では見せられなかったものを見せることが出来ると思います。スタッフの皆さんや共演者の方々と作っていく中、かもし出される空気感の中で桜井が物語をより魅力的にする“謎”の一つでありたいですね。

 最初に台本を読み、子供が事件に巻き込まれてしまう展開がとてもしんどかったです。僕自身、まだ幼い子供がいるので、フィクションと分かっていても心が痛かったです。

 実際、自分が子供を授かった際には『この子を失ったら、正気でいられるのだろうか?』と考えました。理性では復讐は何も生まない、ということは分かっています。でも、悪いことをした人間は、その罪と同じような刑罰を与えるべきだ、という考えも“人情”としては分かってしまうんです。特に、この物語のように幼い子供が当事者になってしまったら…。今、自分の重心がそちら側なので、明確な答えは出せないですね。フィクションとして、勧善懲悪の物語は胸がスカッとします。時代劇でも仕事人や桃太郎侍が悪を倒す場面は爽快感があります。でも、『犯罪症候群』のように起きる事件や、人間の感情をリアルに描いている作品は、投げかけているメッセージもとてもリアルで、そう簡単に答えを見つけられません。答えは出ないかもしれませんが、そうやって考えることにきっと意味があるのではないでしょうか。